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会食恐怖症の経験といろいろ

数週間前の話ではあるが、Twitterで「会食恐怖症」というワードがトレンドに入っていた。

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私はこの会食恐怖症に長年苦しまされていたもののほぼ克服したような状態で、これが多くの人に知ってもらえるのは非常にいいことだと感じた。
さらに調べてみると、同じような経験をした人がかなり多くいるということを知った。

別に話す必要性も機会もなかったので人に話したことはないものの、誰かの役に立ちそうな気がしないでもないのでまとめてみた。

会食恐怖症とは

一般的には人前で食事をする際に不安を強く感じ、吐き気や食欲不振などの状態になることを指す。
正式に認められた病気のようなものではなく、個人差もあり定義は曖昧ではあるが、大体合っているはずだ。
(詳しくは各自で調べていただきたいです)

自分の経験について

幼少期

私は昔から小食で痩せてる方で、食べる量が少なくはなかったものの、食べるのが遅い人だった。
ちなみに現在もこれだ。

親に食べるのが遅いと頻繁に言われていたことだけは薄っすら記憶に残っている。

一番苦しめられた小学校時代

会食恐怖症の症状で最も古い記憶は小2か小3あたりだった気がする。
毎回給食の時間が近づくと、空腹を遥かに上回る吐き気に近い感覚を感じていた。食べ始めても吐き気は続く。
私のクラスでは最初に減らすことが許されていたので、ご飯やスープは半分、コロッケなども半分にすることによってハードルを下げてなんとか食べていた。
このように給食はなんとか乗り切っていたという記憶がある。

一番しんどかったのは小5の宿泊学習だった。
これまでは昼食しか症状が出ていなかったものの、このときに初めて朝食と夕食でも同様なことが起こった。
そのため宿泊学習中の食事は、ほんの少しだけ食べてあとは友人にそのまま食べてもらっていた。

一方で症状が全くでないこともあり、特に小6のころはかなり安定していたためか悪い記憶がない。

一時的に治まった中学校時代

中学校では唯一運動部(ただし卓球)に所属しており、運動することが多かった。
そのせいもあってか、普通に食欲もあり食べられたような気がする。

中学校でも給食だったが、このときには減らさずに全て定量食べきれていた。

一度友人と遊びに行ったときにマックのハンバーガー1つを食べるのに苦戦したことはあったが、他は何もなかった気がする

突然再発する高校時代

高校からは給食や食堂が無く弁当だった。
昼食は普通に問題なかったうえ、部活中に部室で食べるときも大丈夫だった。
外で食べに行く機会もあったが、完全に大丈夫だった。

しかし、当時付き合ってた人と夕食を食べにいく前に、空腹状態でコーヒーを飲んで胃がバグってそのまま食欲がないまま店に入ったことがあった。
この件がきっかけで、また再発してしまい、定期的に食欲が激しく減退することが増えた。

クレープ一つも食べる気にならず、仕方なくタピオカを飲むときもあった。
(いやあの時マジで吐きそうだったんですよマジで。)

また、今までのこともあって人との食事の機会を極力避けていたような気がする。

克服した(?)大学時代

地元を離れ関東の大学に進学し、実家ではなく一人暮らしとなったた生活習慣が大きく変化した。
昼食はコンビニ弁当か学食、夕飯は基本的に自炊というスタイルだ。

また、1,2年生のころは居酒屋でバイトをしており、シフトのときの夕食はそこでのまかないだった。

この頃になると生活習慣が自由になったのもあり、特別何かに追われるようなことが無くなった気がする。
そのせいもあってか食事で困ることは一切なかった。

症状自体の扱い方にも慣れてきたというか、どうすればいいかが分かった来たのも要因だろう。

以上を踏まえて思っていること

原因が何だったのか

まずはこの症状が発生する原因だ。
自分の場合、「人に迷惑をかけたくない」というのと「小食、かつ食べるのが遅い」というのが重なったためだと考えている。
親に「食べるのが遅い、早く食べなさい」と言われていたことがも追い打ちをかけたのだと思う。

一度このような経験をしてしまうと、「また同じようにならないか、周りに心配をかけてしまわないか、食べきれず残してしまうのではないか」と変な不安に襲われ、より悪化してしまう。
この悪循環に陥ると抜け出すのは難しい。
しかし環境の変化で一時的に軽くなるというのは、心機一転というものであろう。
特に大学進学は環境が大きく変化したため、いいきっかけになったのではないかと考えている。

解決するには

会食恐怖症は身体的な問題というより精神的な問題であり人によって異なってくるため、以下のことはあくまで一例としてとらえていただきたい。
違いはあったとしても解決のヒントの一つになってくれれば嬉しい。

ただしどれにも共通しているのは、
・緊張を和らげる
・極力安心感を得ようとする
・症状に苦しむ経験を避ける
ということなので、これを意識した上で読んで頂きたい。

食べない

いっそのこと食べない、というのは一つの方法である。
実家で生活していたり計画された旅行だったりすると、一定の時間で食事をとる必要が出てくる。

外出中、食事の際に親に「食欲がなくても食べろ」と言われたのが非常に悪く効いていたのは覚えている。
確かにその後の予定にもかかわってくるし仕方のないことではある。とはいえ吐きそうなときにこう言われたのは本当にトラウマレベルである。

しかし多少食事をしない程度で人は死なないし、よっぽどのことでなければ体を動かせる。
安心した状態でこそ食欲は湧いてくるので、たまたま空腹を感じたときに食べればいい話なのだ。

食べられるものを食べる

食べなくていいとはいえ、いつかは電池切れになるのは人間の性である。
そんなときにオススメなのが、ゼリー飲料とカロリーメイト的なものである。

私の場合これらのものはいつでも食べられた。
そもそも量的には少なくハードルが低いために、変な緊張感を感じないのもあるだろう。

変な心配をしない

「待たせてしまうかも」「残すと迷惑がかかる」
そう簡単にはいかないのはわかるが、そんなことを考えるのはやめるべきだ。

参考に、居酒屋で2年弱バイトしていた私の経験を載せておこう。
まず食事を残されたところで困ることは特にない。
皿を片付けてシンクに置く前にゴミ箱を経由するだけだ。
日常の作業の一つのフローでしかないためそこに感情は何もないし手間もない。
客それぞれに何かを感じるかと言われれば、常連か特徴的な客でなければなにも感じない。

こういった感じで、客一人一人に何かを気にすることは殆どないので安心すべきだ。
実際働いてこれらのことを知り、安心したというのは克服したきっかけの一つであると考えている。

完治することは諦める

これは会食恐怖症は治らないという意味ではなく、うまく理解することが大切だということだ。

恐らく会食恐怖症は経験してしまった以上は完治するのはかなり難しいものだと思っている。
しかし、どのようなときに食欲がなくなるか、どうすれば少しかマシになるか、を知っておくだけでも大きい。

私は子供のころからの長い間であった様々な経験(悪い意味で)を多くしたせいもあって、大学に入ったころには自分の症状についての理解がかなり深まってたと思われる。
そのため、食欲がないときは無理に食べないよう心掛けていた。それかサラダだけ食べるか(野菜ならいつでも食べられる)。

理解して行動していると、特別苦しむこともなくなり小トラウマ事案すら発生しなくなる。
こうしているうちに不安が軽減され、症状がほとんど発生しなくなった。

無理に直そうと考えるのは、逆に不安を煽ることになりかねないと私は思っている。

居酒屋、飲み会は良いイベント

アルコールに耐性があるかどうかは関係なく、居酒屋は会食恐怖症の人には都合が良い。
というのも、居酒屋では酒を飲むことがメインになるため、食事はサブだ。
つまり極端な話、食事はとらなくていいと考えてもいい。あったとしても少しである。

こう考えられるだけでも安心の要素になるのではないだろうか。
食欲が無かったとしても無理に食べる必要はないのだ。

飲みの機会が増えて不安を感じることが無くなったのも、大学生になってから不安を感じなくなったきっかけの一つだと思っている。
(酒を飲むとなにもかも吹っ飛ぶというのもある)

店の雰囲気は事前に把握しておく

私の場合、閉鎖的で暗い店だとどうも変に緊張してしまう傾向がある。
そのため自分で店選びをする際は、極力慣れている店を選ぶか、Googleで店内の写真を調べて明るく開放的であるかを確認するようにしている。

一方で自分で選べない場合は、極力端の席を選ぶことで緊張を和らげることが出来るのでそうしてきた。

会食恐怖症じゃない人へ

身近に会食恐怖症の人がいるということは、そこそこのレアケースだと思う。少なくとも周りで例のコロナに罹った人よりは絶対に少ないだろう。

しかしいた場合はどうすれば良いか、してほしいか。

まず、無理に食べることを強要することだけはやめて欲しい。
無理に食べることは余計な恐怖心を引き出すことになるうえ、最悪トラウマになりかねない。

そして、急かさないで欲しい。
ゆっくり食べてよい、そう考えるだけでも安心する。

場合によっては、完全に見放して欲しいということもある。
「食べなくていいよ」
このレベルのことで安心することも場合によってはある。

何度か言ってるように個人差のあるものなので一例ではあるが、私の考えは以上の通りである。

まとめ

話題にも上がっていたように、会食恐怖症で苦しんでいる人は少なくとも一定数はいるのではないかと思われる。

そして簡単に克服できるようなものではない。

周りの環境や状態に大きく左右されるため、自力で改善していくことが厳しいかもしれない。
しかし最近では山口健太氏(@kaishoku123)を中心に話が広まっており、知名度も徐々に上がっているのではないだろうか。
山口健太|「食べられない」の誤解を解きます (@kaishoku123) | Twitter

配慮しろとまで言うことはなくとも、1つの事実として社会的な理解を深めていくといいのではないかと思っている。